以前あるクライエントさんにお会いした当初、こんな風に言われていました。
仮にのり子さんとしましょう。
のり子さんはある企業のある部門にに勤続25年の方です。
「自分は運が良くないと思います。
職場でも苦手な業務が必ず定期的に回ってきて心身が消耗するし、
いちばん困っていることは先輩女性のKさんの話を我慢して聴かないと機嫌が悪くなることです」
「私にはどうでもいい話を延々と人の気持ちもわからないで話すんですが、
仕事の邪魔にもなるし、なにより一方的に聞かされるだけなので仮に暇だったとしても本当に苦痛です」
のり子さんは夫と二人暮らしですが、別の会社に勤める夫が病気がちであるのと会社でのストレスが強いので
できれば夫にやめてもらってもいいかなと思っている状態です。
でも自分は会社を辞めるわけにはいかないと思っています。
のり子さんは胃の調子が悪いほかはこれと言った疾患があるわけではありませんでしたが、
日々のストレスと更年期の影響で軽いうつ状態になっていました。
成育過程でのご両親との間の悩みなどからだんだん卒業され、さらにカウンセリングが進むと
「安心できるところで話をすることは大切でほっとする時間だけど、今までグチばかり言ってますね。
これだけでは進歩がないですね」
と気づかれました。
そして一番悩みの種であった先輩女性の聞きたくない話しをどうしたものか?と考え始めました。
そしてある日、
話を聞かない!と「決意」し、機嫌が悪くなろうと仕方ないと「覚悟」し、
実際先輩Kさんの話を無視するという「行動」に出たのです。
その結果はこうでした。
「最初Kさんが話しかけてきてもほとんど聴こうとせず、
無視したようにふるまったらKさんはものすごくびっくりしていました。
そして案の定不機嫌になりました。
前の私だったら不機嫌になられたら怯えてしまっていやいや話を聴く羽目になっていたと思いますが、
覚悟していたことなので意外と大丈夫でした(笑)」
こうして嫌で嫌で仕方なかった自分の気持ちに反してK先輩の話を聴くという習慣を変えられたのです。
K先輩は不機嫌になってのり子さんにとげとげしく当たりましたが、
決意と覚悟がしっかりしていたので、揺らぐことはなくK先輩の不機嫌さをスルーすることができました。
K先輩はのり子さんと言う「犠牲者」を失ってからは ほかの人をターゲットに同じことを始めたそうです。
さらに若くて立場の弱い派遣社員さんが新たな「犠牲者」になってしまったようです。
のり子さんはその派遣社員の女性に
「私は思い切って無視するようにして解決したけれど、あなたも無理に聴くことはないよ」
とサポートしているそうですが、のり子さんのようにはすっきりいかないようです。
自分は運がよくない、というコンセプトを持っていたのり子さんですが、
長年のストレスフルな関係を清算してからはじょじょに暗い感じが消えていき、うつ状態も消失していきました。
言い換えれば、
嫌で嫌で仕方なかったK先輩の話を「聴かない」ことで、
これまで我満して自分のインナーチャイルドを傷つけていたその傷を癒すことができたから
なんですね。
前回のブログ「統合ってどういうこと?」の中で
「統合」とはハイヤーセルフと一致している自分、つまり傷ついた自分のインナーチャイルドを癒し修復して
「自分らしいあり方」で存在することを自分に赦すこと、
という意味のことを書きました。
のり子さんは長年悩んでいた人間関係の中で
自分のインナーチャイルドを傷つけていたある部分を修復できたということができるでしょう。
これは「統合」が進み始めたということでもあると思います。
そしてそのためには「決意」「覚悟」「行動」が必須だったということです。
インナーチャイルドを癒して自分らしさを赦せば赦すほど「統合」に近づきますが、
それはそう簡単なことではなく「勇気」が必ずいることです。
勇気を出すと痛みを伴うことはありますが、依存的に願っているだけでは決して達しないことではあります。
あなたは今どんなところにいますか?
それではまたお会いしましょう(^_^)/~