先週のニュースレターでは、なにかと
「私って傷つきやすいの」
という人の深層心理について書かせていただきました。

読者の方から「もう少し深く知りたいです」というご要望を頂いたので、
その中でもカウンセリング場面で一番多くみられるタイプの内面について書いてみますね。
女性が多いように思われがちですが、男性も引けを取らず少なくありません。
ただ、男性の場合は
「僕って傷つきやすいんだ」とは表現しづらいので、
相手を直接攻撃したり無視するような態度に出ることも多いという違いはあります。
事例からいってみましょう。

友里恵さん(29歳)販売業
友里恵さんは宝飾関係の会社で販売担当をしています。
仕事柄、結婚指輪や婚約指輪を購入するために来るお客さんも少なからずいて、
カップルで訪れる場合もよくあるのです。
友里恵さんは接客は無難にこなしているのですが、
たとえばカップルのお客さんが帰った後に同僚にこんなことを言うことが多いのです。
「さっきのお客さん見たでしょ?
なんか二人とも選ぶのにグズグズいちゃいちゃしてて・・・。
なんか私に見せつけてるみたいで、感じ悪かったわ。
私ちょっと傷ついちゃった」
これを聞いた友里恵さんと同い年の同僚のA子さんは思いました。
「確かに私もあのカップルを見ていたけれど、これから婚約するような人たちだし、
仲良くあれこれ迷ったりするのはごく普通の場面で、別に目を覆うような態度でもなかったしなー。
友里恵さんが傷つく必要なんてないのになぜ?・・」
友里恵さんもA子さんも独身という部分は同じですが、
友里恵さんは日頃からカップルで仲良く選んでいるお客さんを見ると
だいたいあとからそのカップルの悪口を言ったり
「傷ついた発言」をすることが多いのです。
いったい友里恵さんの心の奥にはどんな感情が潜んでいるのでしょう?

先週のニュースレターの中の3番目がセッションの場面では最も多くみられるケースです。
それは・・・
弱い自尊心と被害者意識
です。
さらに深堀すると、
ここには投影というメカニズムがある場合が多いのです。
投影とは
「受け入れられない自分の感情や不快なもの、
あるいは自分の悪い部分などを相手に映し出して、相手が持っていると思い込むこと」
をいいます。
つまり、友里恵さんのように傷つきやすい人が他者に感じる「悪意」の多くは、
自分自身の無意識のコンプレックスの投影によるものです。

友里恵さんはカップルがグズグズいちゃいちゃして「仲の良さを自分に見せつけた」と被害的にとらえていましたが、
その内心は「恋人もできないし、結婚の予定もないし、特別な何かもない自分」という
自分に対するコンプレックスが大きく潜んでおり、それをお客さんのカップルに投影した
のです。
結婚する人が多い年代でも独身の人はたくさんいますが、
感じ方は人それぞれで、たとえば同僚のA子さんも同じ年齢で独身、恋人も今特にいないのですが、
彼女が感じたのは、
「カップルが仲良く指輪を選ぶっていいなー、うらやましいなー。
私も早くこのカップルみたいに仲良く指輪を選びに来るようになりたいなー」
と思っただけで、カップルがわざと見せつけているようには全然感じていなかったのです。
つまりA子さんには友里恵さんのようなタイプのコンプレックスがなかったので
カップルに憧れがあっても悪意はなく、投影が働かなかったというわけです。

「投影」というのは防衛機制の一つで、
人間関係の構造を知るのには必須なものです。
私たちは、日常でこの
「自分のコンプレックスを相手に映してしまう」
というメカニズムを無意識に用いていることが多いのです。
もしあなたが「傷つきやすい」と自覚しているなら、
「相手が自分に何か悪意を抱いている」と感じたら、確認してみてください。
「この人が私に悪意や嫌悪感を持っていると感じたら、それは
実は私が自分自身に感じていることではないだろうか?」
とね。
それではまたお会いしましょう(^_^)/~
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